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改正がないのに改正 |
リース契約と法人税・所得税 平成20年4月1日以後に契約するリース取引については、売買取引があったものとして法人税または所得税の計算を行います。 これは昨年の税制改正で決まったことです。さらにリース取引には、少額減価償却資産や一括償却資産の特例の適用が否定されていますので、リース料支払取引を従来通りの賃貸借として会計処理をしていたとしても、ことごとく売買取引があったものとして扱われます。
リース契約と消費税 これに関連する消費税法の改正はありませんでした。消費税法は現金主義的性格があるので「リース料支払いの都度、支払消費税を認識する」とするのが素直な解釈としてよさそうにも思われます。 しかし、消費税通達は当初より法人税所得税準拠主義を一貫して表明しておりました。そのため消費税法では何の改正をもしないまま、法人税法・所得税法が改正されたことを根拠に「リース取引は、売買取引として消費税の計算を行う」との当局解説を喧伝しています。 もしこれを受け容れるとすると、仕入消費税の計上が契約時一括となるので一般的には有利といえますが、免税事業者期間・簡易課税事業者期間の場合での契約については不利なので、要注意事項となることに留意すべきことになります。
解釈立法 解釈によって立法と同じ効果を果たすことは解釈立法といえます。一昨年の税制改 正にもありました。 会社が解散等によって通常の事業年度が分断された場合、事業年度開始の日から解散の日までの期間及び解散の日の翌日からその事業年度の終了の日までの期間が、それぞれ「みなし事業年度」となるとの規定が法人税法にあります。 これに対して会社法では、株式会社が解散して清算が開始する場合には、解散の日の翌日から一年の期間を「清算事務年度」としました。 法人税法ではこれを承けて、規定の変更のないまま、会社清算中のみなし事業年度の規定は機能しないと解釈をするものとの当局解釈が披瀝されています。
今年の税制改正では 不利益不遡及の原則が税制にはあるとの政府見解なので、たとえどのように立法されてもこの原則に抵触しないように解釈しなおさなければなりません。 これも解釈立法の一つといえそうです。
2008
年6 月5 日(木)
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