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市長に相続税額の弁償を命じた裁判判決

鎌倉市が裁判で敗訴した事件について、市議会は自民党から共産党まで一致して控訴の主張をしました。

土地の評価額を疑問視したことに始まる
路線価地域ではなく、固定資産税評価額に倍率を掛けて相続財産土地の価額を出すことになっている地域での事件で、話は、相続の申告の際に、土地の評価額が高すぎるように思い、市役所に調査依頼をしたところからはじまります。
市役所職員はその土地を調査した結果、5%程度の評価額修正をしたので、相続税申告者はそれに基づいて、その価格に所定の倍率を乗じてその土地の相続税評価額を算出し、相続税の申告及び納付をしました。

12年後、鎌倉市は潔かった
その後12年経過後に、再びその土地の固定資産税評価額がどうみても高すぎるように思い、再度市役所に再調査依頼をしました。
再調査の結果、市役所は評価上の色々な補正割合の適用に原則的な誤りがあることを発見し、12年前からの評価額を洗い直し、固定資産評価審査委員会の決定に基づき12年前から過大納付であった固定資産税を返還しました。

税務署は杓子定規だった
再調査依頼人は同時に、12年前の相続税の申告と納付についても、新しく修正された12年前の土地の固定資産税評価額に基づき、相続税評価額を計算し直し、約1,950万円の相続税過大額につき、税務署に対し更正の請求をしました。しかし、税務署は、更正可能期間が既に経過しているとして減額修正の請求に応じませんでした。

矛先を鎌倉市に向けたら
それで、市長に対して国家賠償請求を提起したわけです。裁判所は冒頭に書いたように納税者の勝訴としました。判決は、市は守るべき規範である評価基準等に従って評価額を決定すべきにもかかわらず、職務上通常尽くすべき注意義務を怠り漫然とそれをしていたのだから、国家賠償上の過失及び違法性が認められる、と叱責しました。
その上で、担当調査官の過失による評価額の算出誤りと調査依頼人の相続税過納付の損害との間には相当の因果関係が認められると、判決理由を述べています。思い切った大岡裁きといえそうですが、今後の展開の予想は難しいと言わざるをえません。

2006 年11 月28 日(火)