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画期的な憲法違反判決 課税不遡及の原則を確認

判決!! 違憲無効の税制改正
1月29日、福岡地裁岸和田羊一裁判長は「租税法規不遡及(そきゅう)の原則に違反し、違憲無効。控除を認めるべき」として課税処分を取り消しました。
税金裁判で憲法違反とする判決は、まさに画期的です。

平成15年以前の税制
損益通算についてですが、損益通算とは事業経営とか、不動産経営、などから損失が生じたときなどに、その損失額を他の所得(たとえば先の所得のほかでは給与所得など)から差し引いて税金計算することをいいます。
通算後なお損失が残るときはこれを純損失といい、青色申告者に限り翌年以降3年間の繰越控除が認められていました。
そして、土地建物等の譲渡損失は損益通算及び繰越控除の対象でした。

改正の経緯
平成16年3月26日国会通過した税制改正法は土地建物等の譲渡損失の損益通算および繰越控除を原則廃止にするというものでした。そして、4月1日施行であるにも拘らず、平成16年1月1日以後に行う土地建物等の譲渡について遡及して適用するとされました。改正案が公表されたのが、平成15年12月17日の「自民党税制改正大綱」においてで、バブル不動産の含み損赤字切捨てを不意打ちで敢行することが狙いでした。

理不尽を許せなかった女性
判決によると、女性は平成9年にマンションを約4,800万円で購入し、平成16年3月に2,600万円で売却。平成17年3月、約2,000万円の損失を他の所得から控除し、
約170万円の還付を求めたところ、法改正を理由に拒否されました。
女性は異議申立、審査請求後、平成18年提訴、弁護士を付けず、「国民の財産権を侵害する遡及適用は許されない」と主張しました。
国側は「節税のために土地の安売りを招く恐れがある」などと主張していたようです。

岸和田裁判長は「法改正要旨が報道されたのは遡及適用のわずか2週間前。
国民に周知されていたといえない」などと指摘し、その上で、「控除を認めないことで不利益を被る国民の経済的損失は多額に上る場合も少なくなく、改正法の遡及適用が国民に経済生活の法的安定性を害しないとはいえない」と判断を下しました。

2008 年3 月3 日(月)