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「金額」と「残額」

法人税法での使い分け
法人税法においては「控除」と「減算」の使い分けが行われています。「控除」の方は、差し引き後の金額がマイナスとなった場合には、ゼロが限度とされます。
他方「減算」の場合は,単に引き算の意味で用いられており差し引き後の金額がマイナスとなった場合、そのまま所得計算や税額計算に影響させることになります。

所得税法は法人税法とは異なる
ところが所得税法では、こういう使い分けをしていません。そもそも所得税法には「減算」という言葉は出てきません。
所得税法で使われている「控除」という言葉は、単に差し引くという意味でしか使われていません。

所得税法では「金額」と「残額」
それでは『所得税法には差引後ゼロを限度とする計算は出てこないのか』というとそんなことはありません。そういう用例は沢山有ります。差引後ゼロを限度とするという時には「控除した残額」という表現を使っています。マイナスになることまでも許容するときは、「控除した金額」という表現を使っています。
「残額」と「金額」との使い分けで意味を変えているわけです。

法人税法でも少し「残額」の例がある
法人税法でも、「残額」という表現でゼロ以上の値を意味させているところが少しだけ外国税額控除の規定などのところにあります。
『控除した残額を限度として』とか『控除した残額に達するまでの金額』とかと表現されています。「控除」と「減算」の使い分けをしていないのみならず、「控除」と「減算」の使い分けを知らなくても理解できる表現です。

所得税法に軍配、しかしそれより・・・
法人税法と所得税法のそれぞれの言葉の使い分けは、どちらが優れているかといえば、所得税法の方に分がありそうに思えます。
それはさておき、税法用語がこんな風に違うのは、立法における個人の趣味を差し挟んでいるようで、困りものです。統一してほしいところです。

2008 年3 月26 日(水)