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生命保険の売却の是非

日本では裁判所が拒否
長期療養のため失業し自宅も売却し、困窮していたがん患者が、生命保険金を受け取る権利を売却して、大学入学を果たした息子の学費や爾後の療養費を捻出しようとしたが、最高裁は昨年10月この求めを退けました。
「ワラをもつかむ思いで」生命保険を売却しようとし、司法の壁の前にはね返された思いを、報道していた新聞がありました。
このケースばかりでなく、少子化時代では、遺族のために生命保険に入るという必要は小さくなり、むしろ生きているうちに、生活の充実のために使いたい、という要求が強くなっています。

アメリカでは古くから市場がある
アメリカには、生命保険取引市場がかなり古くからあります。
特に、エイズが80年代に大流行してから、米国内でこの市場が急成長しはじめました。生命保険取引市場は、ライフセトルメント産業といわれ、買取業者が利回りのよいリスクの少ない小口化投資商品として売り出す一つの金融商品分野を形成しています。
これにより、病気や老齢で余命が短い人に財政上の悩みをなくしたり、より高度な治療にかかる高額な費用を肩代わりすることも可能にし、被保険者の実生活上の困難を解決しています。

日本では歴史が始まらなかった
冒頭の最高裁判決の事例は、日本での生命保険の買い取りビジネス顧客第一号だったようです。
日本の生命保険会社は「モラルリスク(倫理上の問題)がある」として保険金の受取人と契約者の名義変更に同意しなかったので、東京地裁で争われ、高裁で争われ、最高裁で争われることになりました。
高裁判決は「生命保険の譲渡を自由放任とすれば、買い取り会社が窮乏した契約者や高齢者などから不当に安い値段で買い取る暴利行為を招きやすく、詐欺的取引や暴力団の資金になる危険性が懸念される」と指摘しました。
ただし、地裁判決も「長期療養で極度の困窮に陥るがん患者がいることも事実で、生命保険の売買が必要資金取得の有効な方法になり得ることもうかがわれ、今後議論を尽くすことが望ましい」と提言もしています。

2007 年2 月2 日(金)